家業が茶道関係にも関わらず大学に入ってからやっと茶道を始めた僕ですが、その転機の一つとしてお茶事とであったということがあります。母に誘われてほとんど初心者同然で参加したにも関わらず、その感動は今でも忘れることが出来ません。
お茶事の素晴らしさを文章のみで表現するのは難しいのですが、『もてなし』と『もてなされ』の極致とでもいえば良いのでしょうか。亭主は持つもの全てを出して客をもてなし、客もその亭主の心を全力を持って受け止める、そういったイメージです。
お茶事の流れとしては、待合で客がそろって腰掛待合に。蹲(つくばい)で手を清め、路地を通って茶室へ。初座は挨拶の後、(※)懐石から始まり、炭をつぐ炭手前があって、それから主菓子を食べます。中立で一度腰掛待合に戻り、銅鑼の音を静かに聴いた後、本席に戻ります。後座は濃茶から始まり、炭を足してから薄茶の点前、最後の挨拶となります。だいたいこれらが2刻(約4時間)かけて行われるのです。<風炉の正午の茶事の場合、あくまで”流れ”です>
亭主はこの客をもてなす4時間のために、様々の茶道具を集め、お菓子を選び、庭を清め、材料を集めて懐石の準備するために長い期間をかけます。また、客も亭主がどのような道具を出しても話を合わせられる知識と、もてなしに恥じないきちんとした作法を知っている必要があるのです。
お茶はとても深いものです。茶室や庭を作るには建築を、床に花を生けるには華道を懐石を行うには料理を、茶道具を集めるには道具の知識を、案内状を出すには手紙の書き方や習字の心得が必要になります。もちろん、点前作法も覚えなければなりません。お茶事はいわば4時間にそれが凝縮されているといえるのです。
すご〜く先の話になるのですが、僕の夢は70くらいになったら毎月のように知り合いを招いてお茶事をすることです。なので、それまでに色々勉強しようと思っています。
※懐石・・・お茶における懐石とはいわゆる茶懐石のことで、会席や料亭での料理とは異なり、細かく順番・作法などが決められています。飯椀、汁椀、向付、煮物椀、焼物、預鉢、小吸物、八寸と量 は結構多いですが、基本は一汁三菜であとは酒の肴です。懐石はあくまでお茶を美味しく飲む為の従の役割ですから、質素であることが肝要のようです。